増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液生化学検査
蛋白
免疫グロブリン
河野 均也
1
1日本大学医学部臨床病理
pp.209-212
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906312
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
免疫グロブリン(Igs)は抗原刺激を受けたB細胞系細胞が分化・成熟して産生する血漿蛋白成分であり,IgG,IgA,IgM,IgDおよびIgEの5つのクラスに分類され,おのおの抗体としての活性をもつ.したがって,Igsの量的あるいは質的な異常を捉えれば,免疫機構の機能異常を知る手掛かりが得られることになる.本稿では,比較的量的に多く存在するIgG,IgAおよびIgMに限って述べる.
Igsは体液性免疫の中心をなす血漿蛋白質であり,その病的増加は抗原の刺激が持続的に加わるような病態,あるいはIgs産生細胞の腫瘍性増殖の結果生ずることが多い.前者は多クローン性の,後者は単一クローン性(M-蛋白)の増加が主としてみられる.しかし,Igs産生系細胞の先天的な異常(原発性免疫不全症)あるいは免疫抑制剤の使用などでみられる続発性の免疫不全症では,これらIgsの減少を認める場合が多い.
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