増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液生化学検査
蛋白
α2-マクログロブリン
狩野 有作
1
,
大谷 英樹
1
1北里大学医学部臨床病理学
pp.200-201
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906306
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
α2マクログロブリン(α2 macroglobulin:α2M)は,単球・マクロファージ系の細胞などで産生される分子量72,000の糖蛋白である.血中に最も多い蛋白分解酵素阻害蛋白(protease inhibitor)として,多くの蛋白分解酵素(protease)の活性を阻害することにより,血液凝固,線溶系,炎症反応などに関与している.
血中α2Mの減少する病態はあまり多くはない.DICでは,形成されたα2 M-plasmin複合体が網内系で消費され,α2Mが低下すると考えられている.急性膵炎では,trypsinと結合し消費するとされる.骨転移を伴う前立腺癌では,血清α2Mが約20mg/dl以下に著減すること(α2M欠損症)があり,本症に特異的なものと考えられ,その機序としては,前立腺組織より放出されるPSA,urokinaseなどのproteaseとα2Mのcomplexの形成による異化の亢進が考えられる.
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