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尿中α2-マクログロブリン測定の意義
伊藤 喜久
1
1自治医科大学臨床病理学
キーワード:
α2―マクログロブリン
,
血尿
,
ネフローゼ症候群
Keyword:
α2―マクログロブリン
,
血尿
,
ネフローゼ症候群
pp.828-829
発行日 1997年7月15日
Published Date 1997/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903378
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α2-マクログロブリン(α2-M)は,4本の同一サブユニット構造からなる分子量740kDaの高分子蛋白である.補体C3,C4,C5やpregnancy zone proteinなどと同一ファミリーに属し,第2染色体短腕12~13領域でコードされている.生物学的な役割は明らかでないが,凝固,線溶機能の制御,炎症反応の沈静化などのアンチプロテアーゼ作用,およびIL-6, TNFα(tumor necrosis factor-α),インスリンなどの担送機能を有する.産生組織は肝臓,マクロファージ,線維芽細胞,アストロサイトなどから,一方,異化組織は肝臓,マクロファージで,プロテアーゼとの複合体形成による構造変化により,レセプターを介して急速に除去される1).
血清における臨床上の意義はきわめて限られたものであったが,近年,欧州を中心に,わが国においても,尿中α2-Mの微量測定が脚光を集めてきている2~4).尿中であっても構造的には血清と同一であり3),比較的安定性が維持され,既存の血清測定システムでおおむね拡大利用が可能である4).
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