トピックス
α2マクログロブリン欠乏症とその背景
狩野 有作
1
1北里大学医学部臨床検査診断学
pp.311-313
発行日 2002年3月1日
Published Date 2002/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906156
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はじめに
生体では血液凝固,線溶,炎症反応などの過程で,多くの蛋白分解酵素(protease)が関与している.それらの反応は阻害因子である蛋白分解酵素阻害蛋白(protease inhibitor)により,制御され平衡が保たれている.
α2マクログロブリン(α2 macroglobulin;α2M)は血中に最も多く存在するprotease inhibitorで,単球・マクロファージ系の細胞などで産生される分子量720,000の糖蛋白である.α2Mは主要なprotease inhibitorとしての機能の他に,免疫抑制作用1)やインターロイキン6(IL-6)2)および成長ホルモン3)の輸送蛋白(carrier protein)としての生物学的作用がある.さらに,癌細胞の浸潤・転移を抑制する機序も報告されている4).
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