マスターしよう検査技術
ヘモグロビン染色
阿多 雄之
1
,
原野 恵子
2
1川崎医科大学内科
2川崎医科大学生化学教室
pp.723-726
発行日 1992年8月1日
Published Date 1992/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901241
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はじめに
ヘモグロビンは,4個のヘムとグロビンから成り,通常のヘモグロビンはα鎖,β鎖と呼ばれる2種のポリペプチド鎖がα2β2(HbA)という4量体のサブユニット構造を成している.非α鎖との組み合わせでは成人において微量成分として,さらにα2γ2(HbF),α2δ2(HbA2)がある.このグロビンを構成するポリペプチド鎖のアミノ酸配列が遺伝的異常で正常とは異なったとき,異常ヘモグロビンが産生される.それらは,サラセミア,不安定ヘモグロビン症として表現される.ヘモグロビン分析には,ヘモグロビンの定性,定量,異常鎖の同定がある1).また最近では,遺伝子解析によるグロビン遺伝子の変異が多数報告されている2).しかし,基本的には形態学が必要であり,末梢血塗抹標本の観察と特殊染色による観察が重要である.そこで今回は細胞学的検査の基本であるヘモグロビン染色について解説する3,4).
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