iatrosの壺
アロプリノールによりStevens—Johnson症候群を発症した一症例
山崎 正行
1
1徳島逓信病院内科
pp.427
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905694
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症例:64歳,女性.約10年前より肝障害あり.1994年1月上旬,感冒症状が遷延し,全身浮腫,腹水貯留,母趾基関節痛にて来院.肝硬変症に高尿酸血症,原発性甲状腺機能低下症を合併し,利尿薬アロプリノール(AP)を投与した.投与4日目より頬部に掻痒性紅斑,口唇に水疱,血痂が出現.全薬剤を中止後,ステロイド投与により2週間後に皮疹は軽快.貼布試験,リンパ球刺激試験にては原因薬剤が同定できず,APを1/10錠再投与後,顔面を中心に滲出性紅斑が出現し,同薬剤によるStevens—Johnson(SJ)症候群と診断した.
APは尿酸生成抑制薬として高尿酸血症治療に広く使われている.しかし,発熱,消化器症状など比較的軽度なものから,腎不全,敗血症,意識障害を伴う中枢神経障害など重症の副作用もみられ,時には重篤なSJ症候群や,中毒性表皮壊死も報告されている.腎不全では薬疹が20%に出現しており,漫然とした使用は避けなければならない.
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