臨床医に必要な老人をみる眼・6
高齢者の心不全—特に急性心不全と拡張機能障害
茅野 真男
1
,
山根 正久
1
,
柴田 三千夫
2
1足利赤十字病院循環器科
2柴田クリニック
pp.1298-1299
発行日 1994年6月10日
Published Date 1994/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402902812
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◆急性身不全と慢性身不全
急性心不全と慢性心不全の違いに注目することは,実地医家にとって重要である.慢性に経過する心不全とは,教科書によく述べられているように,弁膜症,心筋梗塞,拡張型心筋症などによる左心機能低下のため,長い経過で肺動脈圧上昇,右心不全,肺うっ血,下腿浮腫などを呈する病態である.感染などにより増悪を繰り返し,利尿剤が著効する,先生方がよく遭遇する状態である.
急性心不全の定義には混乱がある.従来,実地医家の間では,何らかの疾患を持っていた患者の予想外の急死(突然死,急性循環不全)における死亡診断書病名に,急性心不全が用いられていた.近年の死亡診断書病名の改訂では,急死を急性心不全と記載しては望ましくないとのことである.
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