Japanese
English
特集 拡張期心不全をめぐって
拡張期心不全の疫学
Epidemiology of Diastolic Heart Failure
眞茅 みゆき
1
,
筒井 裕之
2
Miyuki Makaya
1
,
Hiroyuki Tsutsui
2
1国立国際医療センター研究所
2北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学
1Research Institute, International Medical Center of Japan
2Department of Cardiovascular Medicine, Hokkaido University Graduate School of Medicine
pp.239-243
発行日 2009年3月15日
Published Date 2009/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101217
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
人口の高齢化,生活習慣の欧米化に伴う虚血性心疾患の増加により慢性心不全患者は増加の一途をたどっているが,今後さらに増加していくと予想される.近年,特に疫学研究の結果から,明らかな心不全の症状を呈しているにもかかわらず左室駆出率(EF)が保持された症例(heart failure with preserved ejection fraction)が心不全の約30~50%を占めることが明らかとなった.このような症例の心不全は左室拡張機能障害が原因とされ,「拡張不全(diastolic heart failure)」と呼ばれる.心不全を対象とした臨床研究,大規模臨床試験の多くは左室収縮能が低下した「収縮不全」患者を対象としており,拡張不全の実態や薬物治療の効果に関するエビデンスはまだ十分とはいえない.
本稿では,国内外の観察研究の結果,特に現在実施中の日本における多施設前向き登録観察研究Japanese Cardiac Registry of Japan in Cardiology(JCARE-CARD)の結果をもとに1),拡張不全の頻度と予後の現状を概説する.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.