今月の主題 ベッドサイドの痴呆学
薬物療法のポイント—その効果と限界
開発中の抗痴呆薬の最近の話題
吉田 充男
1
1自治医科大学・神経内科
pp.2148-2149
発行日 1990年10月10日
Published Date 1990/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900561
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●はじめに(向セロトニン剤を含む)
1989年11月,第2回アルツハイマーとパーキンンン病の国際会議で最後のround table discussior(Plenum Press1)より1990年中に発刊予定)の司会の1人を筆者が担当した.その中で,痴呆では国際的に知名度の高いGottfriesの強調していた点を紹介する.“痴呆の患者が医師のところにくるのは,記憶・学習障害が始まった時点ではない.妄想・幻覚,興奮,不安,うつ状態などのために周囲の人達に困惑が現れてからである.したがって,この時点では,これら層情障害に対する治療が優先する.中でも,セロトニンの再取り込み阻害剤であるcitalpramが有効である”.
このように,痴呆患者の現実の治療は,感情障害に対するものであって,知能や記憶の障害に対するものではないとGottfriesは強調し,多くの臨床家もこれに同調したのは印象的であった(citalpramはわが国では使用されていない.また向セロトニン剤は,近く外国の企業のものが治験に入る可能性がある).
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