Medical Hi-lite
弱視をめぐる最近の話題
T
pp.58-59
発行日 1965年1月10日
Published Date 1965/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203294
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弱視の意義
オリンピックにひきつづいて行なわれたパラリンピックは,はからずもわが国の身体障害者福祉の欠陥を露呈した.専用の車椅子さえままならず,リハビリテーションの恩恵によくせない患者がわが国になんと多いことかを,私たちはまざまざと見せつけられた.それだけではない.パラリンピックにろう唖者も参加させてほしいという訴えが新聞の社会面を賑わしたりして,日陰においやられた身障者問題が一時に注目され,ようやく日があたろうとしてきた.
しかし一言に身障者というが,その種類は実に多い.その中でもとかく無視されがちな障害の1つに弱視がある.弱視とは英語でAmblyopia(アンブリオピア)とよばれる疾患であるが,この定義はいささか面倒である.古くは視力が弱い場合のすべてを弱視とよんでいた.しかし弱視という疾患は機能的なものにかぎられるべきだという考えかたがつよくなり,器質的な視力障害原因が明かでないときにだけ用いられるようになった.したがって単に視力が弱いというだけでは弱視といえず,その原因が機能的なものとみとめられる場合にのみ用いられる用語となった.斜視に際して不使用眼に見られる弱視(斜視弱視),ヒステリー性の弱視,先天性弱視などがその主なものである.
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