今月の主題 ベッドサイドの痴呆学
薬物療法のポイント—その効果と限界
問題行動への対処
早原 敏之
1
1香川医科大学・精神神経科
pp.2145-2147
発行日 1990年10月10日
Published Date 1990/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900560
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記憶力・判断力の低下や無関心などは痴呆の中核症状であるのに対し,俳徊,興奮や攻撃的態度などの問題行動や幻覚・妄想などの精神症状は痴呆の随伴症状である.随伴症状が続くと介護者は疲労困態し,精神的にも余裕がなくなり,家族・地域の人間関係も気まずくなる.これはたちまち患者へ跳ねかえって,症状悪化,そして入院・入所への直接的契機となる.中核症状への治療があまり期待できない現状では,随伴症状への対応が治療の大部分を占めることとなる.
一方,これらの問題行動は痴呆患者に伴いやすいものの特異的ではなく,これら問題行動のみをもって痴呆と考えてはいけない.
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