今月の主題 ベッドサイドの痴呆学
検査でどこまでわかるか
治せる痴呆をみつけるための検査指針
山本 光利
1
1香川県立病院・神経内科
pp.2100-2103
発行日 1990年10月10日
Published Date 1990/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900550
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痴呆の診断基準としては現在のところDSM-III-Rが最も広く使用されているが,痴呆をひき起こす他のすべての特異的な原因が除外されることが診断基準の必須項目に掲げられている.このように痴呆の診断においては,身体疾患や器質性脳障害に伴って生じた意識障害や痴呆類似状態や,心因反応性やうつ病性の仮性痴呆様状態などの治療可能な痴呆症状を呈する疾患(いわゆるtreatable dementia,図1参照)との鑑別作業が必須である.
老年痴呆患者の診断において特異的な変化を示す臨床検査項目は,現在までのところ利用できるものとしてはない.このため,臨床経過,症状および徴候の評価と,各種検査の組み合わせによる結果(図1)を総合して,治療可能な痴呆状態か,不可能な痴呆症かの診断を行うことになる.図2にこの過程を示す.
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