今月の主題 臨床医のための免疫学
免疫疾患の治療
免疫抑制剤と賦活剤の現状
東條 毅
1
1慶應義塾大学医学部・内科
pp.490-493
発行日 1990年3月10日
Published Date 1990/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900126
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免疫疾患の治療を総括して免疫療法(immuno-therapy)と呼ぶ.免疫療法をさらに免疫抑制療法と免疫賦活療法とに分けることがある.免疫機能の異常によって起こった病態に対して,異常な免疫反応を抑制して生理的状態に戻そうとする治療法が,免疫抑制療法である.また低下した免疫の働きを強化することによって正常化を計ろうとする治療法が,免疫賦活療法あるいは免疫増強療法と呼ばれる.これはまた過剰反応を抑制し低下状態を増強することを目的とする療法として,免疫調節療法と呼ばれることもある.しかしその作用機序が十分に解明されているわけではない.
これらの療法にはX線照射,血漿交換,リンパ球除去などの物理学的な方法も含まれる.また生物学的製剤や生体成分移入などの療法も含まれるが,ここでは触れない.本稿では化学療法剤を取りあげ,その使用頻度の高い全身性自己免疫性疾患での現状を述べる.
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