特集 その考えはもう古い!—最新・感染症診療
コラム
ベッドサイドの鑑別診断
山下 裕敬
1,2
,
岡 秀昭
1,2
1埼玉医科大学総合医療センター総合診療内科
2埼玉医科大学総合医療センター感染症科
pp.704-705
発行日 2021年4月10日
Published Date 2021/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402227603
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当科における主な業務の1つが,感染症(疑いも含む)診療について他科から相談を受ける院内コンサルトである.そのなかで最も多い相談内容が,いわゆる院内発熱の熱源精査である.患者が発熱しており,何かしら異常が起きていることだけは明らかだが,その原因がわからない.診断や方針策定に困った主治医から,毎日のように相談の電話を受けている.相談を受けたわれわれは,まずカルテ診を行い,症例の背景情報を大まかに把握してから病室に向かい,患者本人から話を聞き,身体診察を行う.ベッドサイドで詳細な情報を得たら,チームでカンファレンスをして,最終的な見解・推奨を主治医に伝える,という流れでコンサルタント業務を行っている.
院内発熱は市中の発熱診療と比べると原因が限られている.肺炎や尿路感染症といった感染症のほかに,「7D」といったゴロ合わせで挙げられるような見逃されやすい疾患〔薬剤熱,デバイス関連の感染,深部静脈血栓症,Clostridium difficile(CD)腸炎,褥瘡,偽痛風,胆囊炎〕も存在する1).加えて,基礎疾患に伴う原因〔例えば開腹手術後の患者であれば,当然手術部位感染(SSI)や腹腔内膿瘍を考えるだろう〕の鑑別が,院内発熱の対応における基本であるし,当科をローテーションしている初期研修医には,研修終了までに上記の鑑別を踏まえた院内発熱のマネジメントが1人でできるようになることを1つの目標として教育を行っている.
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