今月の主題 内科医に必要な末梢血管病変の知識
診断
ベッドサイドでのみかた
三島 好雄
1
1東大第1外科
pp.340-343
発行日 1976年3月10日
Published Date 1976/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206461
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末梢血行障害の有無
診断の第1歩は他の疾患と同様に,主訴による病態の推測に始まる.一般に,①指趾あるいは肢に限局する疼痛があって,運動により増強,安静により軽快,また肢の位置によって変わるような場合,②四肢末梢の皮膚色調の変化,ことに発作性のものや,肢の挙上・下垂などによって影響される場合,③四肢末梢の潰瘍・壊死,爪の変形,皮膚がうすくなったり,角化,爪周囲の感染などがみられる場合,④四肢が極端に冷たい,あるいは温かい場合,⑤異常な動脈拍動や拡張・迂曲した静脈がみられる場合,などの所見があれば末梢血行障害の存在が疑われる.したがって患者を診察する場合には,これらのことを頭において問診・視診・触診・聴診とすすめて行くが,①四肢の腫脹・萎縮・伸長・短縮,②潰瘍・壊死・硬皮症・静脈瘤・血栓性静脈炎,③皮膚温の異常,④皮膚色調の変化,ことに肢の位置による影響,⑤動脈拍動の異常,⑥血管雑音,などの有無に注目することが大切で,これらの所見がみられなければレイノー症候群やErythermalgiaなど機能的疾患を除けば四肢の動静脈に器質的な障害はないと考えてさしつかえない(図1).
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