今月の主題 膵疾患診断法
診断のすすめ方
膵疾患のベッドサイド診断
高山 欽哉
1
1丹羽診療院
pp.1244-1246
発行日 1973年10月10日
Published Date 1973/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204917
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膵疾患の触圧打診診断法は,スクリーニング法として,また経過追求の診断法としてはなはだ有要と考える.もとより熟練者の行なう膵の触診は有意義であるが,一般に慣れない人が膵を求めても,肥満体の患者等では全然見当がつかないが,圧打診はこのような場合初心者でも,容易に判定できるので,古来,内外多数の学者によって研究され,わが国でもマレギー,澤田,工藤氏等の方法は有名で,真剣に追試して見ると臨床症状とよく一致することがわかる.試みに定型的急性膵炎の患者に,劇症の初期より治癒を迎えるまでの期間にこれを試みると,ほんとによく理解できる.また狭義の慢性膵炎や膵癌においても診断上有意であることは,経験者の均しく語るところである.今回膵の圧打診に関し詳細に書くようにとのことであるが,頁数の制限のため,圧診法は特に改定することが少ないので,旧著や映画を参考にしていただくことにし,今回は打診法を中心に述べる.
膵が後腹膜臓器で,膵の患者が胸腰部の境界付近に痛みやはるというような訴えをすることが多いので、私はボアスの圧痛を調査したがあまりよい結果が得られなかった.たまたま共同研究者の柴田(祐次)がこの付近に打診を行ない膵障害の患者に有意の所見が得られることを知り,膵打診法として昭和45年6月,消化器関東地方会,同年秋膵疾患研究会(金沢)において発表した.たまたま同時期に九大安部講師も全然別個に研究され,ほとんど同時期に発表された.その後私は腹部の打診法について少しく試み,本年度の日本膵臓病研究会に概略を述べた.以下実施法について詳説し,2,3の注意点について述べる.
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