特集 いまさら聞けない! 肝胆膵疾患—みなさんのギモンに答えます
膵疾患
自己免疫性膵炎
神澤 輝実
1
,
千葉 和朗
1
,
菊山 正隆
1
1がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科
キーワード:
自己免疫性膵炎
,
ステロイド
,
膵臓癌
,
IgG4
Keyword:
自己免疫性膵炎
,
ステロイド
,
膵臓癌
,
IgG4
pp.516-521
発行日 2021年3月10日
Published Date 2021/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402227488
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自己免疫性膵炎は,本邦から世界に発信された発症機序に何らかの自己免疫現象の関与が示唆される膵炎で,その病理組織学的には高度のリンパ球とIgG4陽性形質細胞の浸潤と線維化を特徴としlymphoplasmacytic sclerosing pancreatitis(LPSP)と呼ばれる.血中IgG4値が高頻度に上昇し,全身の諸臓器に多数のIgG4陽性形質細胞浸潤を認めることなどから,現在はIgG4が関連する全身性疾患であるIgG4関連疾患の膵病変と考えられている1,2).高齢の男性に好発し,ステロイドが奏効するがしばしば再燃する.
一方欧米では,IgG4とは関連がなく,膵管上皮内へ好中球の浸潤を認めるidiopathic duct-centric chronic pancreatitis(IDCP)3)と呼称される病理組織像を呈するもう一つの自己免疫性膵炎が注目され,現在はLPSPを呈する自己免疫性膵炎は1型,IDCPは2型と呼ばれている1).自己免疫性膵炎2型は,比較的若年者に多く,男女差がなく,急性膵炎で発症したり,時に炎症性腸疾患を伴うことがあり,ステロイド治療後の再燃は稀で,発症頻度はわが国では少ない.本稿では,自己免疫性膵炎1型について,最新の全国調査4)の結果を交えて概説する.
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