原発性硬化性胆管炎と自己免疫性膵炎の類似点と相違点

Similarity and Difference Between Primary Sclerosing Cholangitis and Autoimmune Pancreatitis

要旨　原発性硬化性胆管炎（primary sclerosing cholangitis；PSC）と自己免疫性膵炎（autoimmune pancreatitis；AIP）は，ともに発症に自己免疫の関与が示唆される原因不明の硬化性疾患である．AIPに高率に合併する胆管狭窄が，肝内胆管や上部胆管に生じた場合，PSCと極めて類似した胆管像を呈する．しかしAIPに合併する硬化性胆管炎は，難治性のPSCと違って，ステロイドが著効し予後は比較的良好である．また，AIPの胆管壁には膵と同様に多数のIgG4陽性形質細胞の特異的な浸潤があるが，PSCでは認められないことより，AIPに合併する硬化性胆管炎はPSCとは異なる病態と考えるべきである．本邦のPSCには，欧米と異なり高齢で発症し，また慢性膵炎を合併する一群があるが，これらはAIPに合併した硬化性胆管炎をみている可能性がある．