増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
血液生化学検査など
糖代謝検査
血中ケトン体
窪田 直人
1
1東京大学医学部附属病院病態栄養治療部
pp.255-257
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223273
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検査の概要
ケトン体は,遊離脂肪酸の肝での代謝産物であり,主に筋肉,心臓,脳で利用される.肝臓はケトン体を産生するのみで利用はできない.ケトン体とは,3-ヒドロキシ酪酸,アセト酢酸,アセトンの総称である.
絶食が長期化すると血漿中のケトン体が上昇し,ブドウ糖の濃度より高くなる.これは,肝の貯蔵グリコーゲンの枯渇により肝の脂肪酸からケトン体への産生速度が増すことによる.肝に取り込まれた遊離脂肪酸はアセチルCoAとなり,その一部はミトコンドリアに入りβ酸化を受けアセ卜酢酸が生成され,さらに3-ヒドロキシ酪酸脱水素酵素によって還元され3-ヒドロキシ酪酸となる.肝ではケトン体は代謝されず,末梢組織(筋肉,脳,心臓,腎臓など)に取り込まれ,アセト酢酸はアセチルCoAに転換され,TCAサイクルで代謝されエネルギー源として利用される.アセトンは揮発性で呼気に排出されやすい(図1).ケトン体の合成過程はグルカゴンにより亢進し,インスリンにより抑制される.
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