特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
血液生化学検査
糖質および関連物質
血中ケトン体
阪本 要一
1
,
斎藤 礼郎
1
1慈恵医大晴海トリトンクリニック内科
pp.234-236
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104753
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
血中ケトン体はアセト酢酸(acetoacetate:AcAc),β-ヒドロキシ酪酸(3-hydroxybutyrate:3-OHBA)およびアセトンの総称である.ケトン体は主として肝において脂肪酸より生成される.絶食,インスリン作用不足,カテコールアミン上昇時などで,糖質からのエネルギー供給が不足すると,生体は脂肪からエネルギー産生を行うことになり,脂肪分解が亢進し,血中遊離脂肪酸(free fatty acid:FFA)が増加する.FFAは肝ミトコンドリア内でβ酸化され,アセチルCoAとなる.このアセチルCoAからAcAcが生成され,さらに3-OHBA,アセトンへと代謝される.AcAcや3-OHBAは糖質の代わりに骨格筋,心筋,腎などで代謝され,エネルギー源となるが,糖質の不足状態が著しいと,脳細胞もこれらを利用する.
ケトン体の産生は生理的には理にかなった生体反応であるが,体内でのケトン体処理能力を超えて,肝よりケトン体が供給された場合に血中蓄積が起こり,ケトン体血症(ケトーシス)となり,さまざまな病態に関与してくることになる.
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