特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
血液生化学検査
糖質および関連物質
血中ケトン体
阪本 要一
1
,
斎藤 礼郎
1
1慈恵医大晴海トリトンクリニック内科
pp.244-245
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101790
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
血中ケトン体はアセト酢酸(acetoacetate:AcAc),β-ヒドロキシ酪酸(3-hydroxybutyrate:3-OHBA)およびアセトンの総称である.ケトン体は主として肝において脂肪酸より生成される.絶食,インスリン作用不足,カテコールアミン上昇時などで,糖質からのエネルギー供給が不足すると,生体は脂肪からエネルギー産生を行うことになり,脂肪分解が亢進し,血中遊離脂肪酸(FFA)が増加する.FFAは肝ミトコンドリア内でβ酸化されアセチルCoAとなる.このアセチルCoAからAcAcが生成され,さらに3-OHBA,アセトンへと代謝される.AcAcや3-OHBAは糖質の代わりに骨格筋,心筋,腎などで代謝されエネルギー源となるが,糖質の不足状態が著しいと脳細胞もこれらを利用する.
ケトン体の産生は生理的には理にかなった生体反応であるが,体内でのケトン体処理能力を越えて肝よりケトン体が供給された場合に血中蓄積が起こり,ケトン体血症(ケトーシス)となり,さまざまな病態に関与してくることになる.
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