増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
血液検査
血栓・止血検査
HIT抗体検査
金子 誠
1
1東京大学大学院医学系研究科臨床病態検査医学
pp.112-114
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223221
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
検査の概要
血栓治療薬として投与される抗凝固薬のヘパリンの副作用には,出血のほかにヘパリン起因性血小板減少症(heparin-induced thrombocytopenia:HIT)がある.HITは,手術症例や血栓症発症例へのヘパリン投与後5〜14日頃に,血小板減少や血栓症の発症・増悪によって疑われる.病態の中心となるのが,血小板第4因子(platelet factor 4:PF4)とヘパリンが結合した複合体に対する抗体(HIT抗体)である.保険収載されているHIT抗体検査法は免疫学的測定法で,ラテックス凝集法および化学発光免疫測定法に基づきHIT抗体を検出する1).
ラテックス凝集法(HemoslL® HIT-Ab)では,PF4-ヘパリン複合体に対する総免疫グロブリン(HIT-IgG/IgA/IgM)を検出する.PF4-ヘパリン複合体マウスモノクローナル抗体が結合したラテックス,抗原となるPF4-ポリビニルスルホン酸複合体(PVS)と,患者検体中にHIT抗体の競合反応を観察する(ラテックス凝集を阻害する検体が陽性).一方,化学発光免疫測定法には2種類あり,HIT-IgG/IgA/IgMを検出する方法(HemosIL® AcuStar HIT-Ab)と,HIT-IgGのみ検出する方法(HemosIL®AcuStar HIT-IgG)がある.ともに2ステップ免疫測定法で,患者検体中のHIT抗体を標識抗体で直接,定量的に検出する.この測定法の差により,HIT抗体の検出に大きな差が生じる.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.