増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
血液検査
血栓・止血検査
血液凝固因子,インヒビター
大森 司
1
1自治医科大学分子病態治療研究センター分子病態研究部
pp.110-111
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223220
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検査の概要
凝固因子は血小板血栓の一次止血に続き,二次止血を担う肝臓で産生される血漿蛋白質である.凝固因子は複数が存在し,血管壁の損傷に伴い上流の凝固因子から効率的に酵素反応を増幅し,最終的にフィブリン血栓を形成する.凝固因子活性の低下により二次止血が阻害され,出血傾向をきたす.凝固因子活性低下の原因として,凝固因子産生の低下,血栓形成による消費性の低下,また凝固因子インヒビターが挙げられる.
凝固因子測定法は大きく分けて,活性と抗原測定に分けられる.日常診療では凝固一段法による活性測定が一般的である.活性測定は,目的とする凝固因子の欠乏血漿に標準血漿を種々の濃度で添加した際の活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time:APTT),またはプロトロンビン時間(prothrombin time:PT)値を元に標準曲線を作製し,凝固検査の値から患者血漿中の凝固因子活性を測定する.凝固因子活性は正常血漿中1mLに存在する凝固因子量を1U/mLと定義し,これを100%とする.抗原量の測定はELISA法によるものが一般的だが,日常的に行うことは少ない.第XIII因子活性の測定は,ラテックス凝集法などの異なる手法を用いる.
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