今月の主題 水・電解質と酸塩基平衡
酸塩基平衡の病態生理
腎尿細管性アシドーシス
杉野 信博
1
,
荒井 純子
1
,
望月 隆弘
1
,
川嶋 朗
1
,
波多野 道康
1
,
窪田 研二
1
,
福田 祐幹
2
1東京女子医科大学・第4内科
2都立駒込病院・内科
pp.2208-2210
発行日 1989年10月10日
Published Date 1989/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222902
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腎尿細管性アシドーシス(RTA)は古くから発生部位により遠位型(type 1),近位型(type 2),また乳幼児にみられた特殊なもの(type 3)と分けられ,さらに近年遠位型の一部に高カリウム血症を呈するものとしてtype 4が加えられた.しかし,最近の欧米の成書ではtype 1→4とか,古典型classic type(type 1のこと)の名称を廃し,筆者が数年前から唱えてきたように近位型RTA(pRTA),遠位型(dRTA)に二大別され,さらにdRTAは低ないし正常カリウム血症と高カリウム血症の型に分かれる.なおtype 3はdRTAの一種であるので今日では死語となって来た.RTAを定義すれば,『腎尿細管機能障害を主因とし,著しい高窒素血症を欠く高クロライド血症性代謝性アシドーシスを呈する症候群で,発生機序から腎尿細管での炭酸水素イオンの再吸収障害(pRTA),水素イオン排泄障害(dRTA)に大別される』となる.
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