増刊号 診断基準とその使い方
X.神経・筋
29.OPCA, LCCA, Spino-pontine Atrophy
清水 夏繪
1
1帝京大学医学部附属市原病院・第3内科
pp.2262-2263
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222087
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■OPCA(olivo-ponto-cerebellar atrophy) オリーブ・橋・小脳萎縮症
診断基準の私案を表1に示す.
1.疾患概念と疫学
中年以降に発症し,進行性の小脳失調症を呈し,遺伝歴のない症例の臨床および神経病理所見が,1900年Dejerine & André-Thomasによって報告され,OPCAという名称がはじめて提唱された.臨床的にも病理学的にもよく似た疾患で遺伝歴のあるものは,既に1891年Menzelによって報告されており,1954年Greenfieldにより,孤発例はOPCA,遺伝歴のあるものはMenzel型と呼ばれるようになった.脊髄障害はMenzel型の報告にはあるが,Dejerine-Thomasのそれには欠けている.しかし症例を重ねた今日,脊髄病変はいずれの型にも存在し得ることが明らかとなり,2つの型を区別する所見ではなくなっている.病理学的には,橋核と下オリーブ核の神経細胞と軸索の変性が本態で,二次的に小脳の変性が起こる.歯状核,大脳基底核(視床,黒質),脊髄(後索,脊髄小脳路,クラーク柱,側索)の変性も高頻度に出現する.なお,OPCA,Shy-Drager症候群,線条体黒質変性症を多系統変性症として扱うことを提唱する人もいる(Oppenheimer).
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