今月の主題 よくわかる水・電解質と酸塩基平衡
トピックス
低Na血症補正とcentral pontine myelinolysis
寺野 隆
1
,
吉田 尚
1
1千葉大学医学部・第2内科
pp.889-892
発行日 1992年5月10日
Published Date 1992/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901520
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Central pontine myelinolysis(CPM)は,1959年Adamsら1)により最初に報告された疾患で,橋中心部の左右対称性の髄鞘の選択的脱随病変を特徴とする.元来,その原因として慢性アルコール中毒,低栄養状態に伴って生ずる疾患と考えられていた.CPM症例でアルコール中毒を伴う頻度は報告者により異なるが,外国の報告では51〜88%,国内では3%と大きく異なる.
その後,成因に関しナトリウム(Na)異常との関連が注目され,近年,Norenberg2),Andersonらは臨床症例の検討より,低Na血症の急性補正が本症を発症させることを提唱した.その後,橋部以外に大脳皮質,小脳,中脳,内包前脚,被殼や視床などにも脱髄巣のみられる症例が報告されている3).
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