増刊号 診断基準とその使い方
VIII.膠原病・免疫・アレルギー
15.強直性脊椎炎
梁瀬 義章
1
,
田中 清介
1
1近畿大学医学部・整形外科
pp.2115-2117
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222017
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■疾患概念と疫学
強直性脊椎炎(AS)は脊椎の炎症性強直を特徴とし,遺伝的要素の明らかな血清反応陰性脊椎関節炎(seronegative spondyloarthritides)に属する疾患である.すなわち,リウマチ因子が陰性で皮下結節がなく,末梢の関節が炎症性の関節炎を呈し,X線上,仙腸関節炎の所見を認め,家族内発生がみられる疾患群である(表1).
ASの病因は不明であるが,HLA-B27が関与していることは,AS患者のHLA-B27陽性率が高い(白人約90%,日本人約85%,黒人約50%)ことからも明らかである.HLA-B27陽性者の約20%が,ASや他の血清反応陰性脊椎関節炎を発生する.そしてASの人口あたりの有病率はHLA-B27の人種陽性率と相関しており,HLA-B27陽性頻度は地域で異なる.アメリカインディアン2.0%,白人1%と多く,黒人や日本人では少ない.わが国におけるASの有病率は0.047%と推定されている.男性では脊椎病変が進行するため,男女のAS発生比率は3対1である.
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