増刊号 診断基準とその使い方
VII.血液
14.慢性骨髄増殖症候群
柴田 昭
1
1新潟大学医学部・第1内科
pp.2036-2039
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221993
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慢性骨髄増殖症候群(chronic myeloproliferative disorders;CMPD)は,1951年Dameshekの提唱による1)もので,彼はこの症候群に属する疾患として,表1の①〜④までのものを挙げた.その後,⑤のCMMoLをこれに含めようという動きもあるが,本症は白血病に関するFAB分類(French-American-British Classification)のmyelodysplastic syndrome(MDS)の一員として取り扱われているので,本稿では省略する.代わって本稿では,CMLのvariantとも考えられる慢性好中球性白血病(chronic neutrophilic leukemia;CNL)について付言することとする.
近代的な意味での造血幹細胞の概念が出る以前に,このような症候群を提唱したことは,今日からみればまことに卓見であったというべきである.Dameshekがこのような概念に到達するに至った動機は,長年にわたる多数の症例の綿密な検討の結果,次の2点に注目したためである.すなわち,①骨髄は出血や溶血などの刺激に対して,ある1つの細胞系統(cell lineage)で反応することはむしろ珍しく,全体(en masse)として反応する特質をもっていること,②表1に掲げた疾患は経過中に相互に移行することが少なくないこと,の2点である.
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