今月の表紙 血液・リンパ系疾患の細胞形態シリーズ・16
慢性骨髄増殖性疾患
栗山 一孝
1
,
朝長 万左男
2
Kazutaka KURIYAMA
1
,
Masao TOMONAGA
2
1長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設分子医療部門分子治療研究分野
2長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設
pp.366-367
発行日 1999年4月15日
Published Date 1999/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904037
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- 文献概要
慢性骨髄増殖性疾患(chronic myeloprolifer-ative disorders; CMPD)の中には慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia; CML)をはじめ真性多血症(polycythemia vera; PV),本態性血小板血症(essential thrombocythemia; ET),骨髄線維症(myelofibrosis; MF)などが含まれるが,CMLを除くと各疾患相互の移行も認められ,あるいはいずれの病型にも分類し難くCMPDと診断せざるを得ない症例も存在する.
MFは骨髄線維化のために骨髄穿刺を行ってもdry tapのため十分な骨髄穿刺標本による骨髄の形態観察ができない.したがって脾腫などの身体所見に加え,末梢血液像で赤血球の形態異常(破砕赤血球,涙滴赤血球など.図1)や核左方移動と同時に赤芽球の出現を認めるいわゆるleukoer-ythroblastosisを認める場合にはMFを疑って,骨髄生検を行い骨髄線維の有無を確認する必要がある(図2).多くのMF症例は血小板増多症を伴い,骨髄生検でも線維化の一部に巨核球の増生を認めることがよく経験される(図3).MFは骨髄線維化が進むと髄外造血の場としての脾臓が増大し著明な脾腫をきたすようになり,中に芽球の増生を認める急性転化を認めることがある.
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