特集 造血器腫瘍
Ⅳ 検査の実際
3.骨髄異形成症候群・慢性骨髄増殖性疾患―2)白血球機能
新倉 春男
1
Haruo NIIKURA
1
1昭和大学医学部附属藤が丘病院内科血液
pp.1380-1384
発行日 2002年10月30日
Published Date 2002/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905245
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はじめに
骨髄異形成症候群(myelodysplastic synn-drome;MDS)および慢性骨髄増殖性疾患(chronic myeloproliferative disorders;MPD)はいずれもクローン性の造血異常であるが,前者は血球減少と形態異常を特徴とするのに対し,後者は著明な血球増加を示すが,明らかな形態異常は認められない.MDSは高頻度に急性白血病に移行し,前白血病状態として捉えられているが,急性白血病に移行しない患者でも生命予後は極めて不良で,ほとんどは重症感染症あるいは出血で死亡する.易感染性の第1の要因は好中球減少であるが,減少がそれほど高度でなくてもしばしば感染症が起こる.したがって好中球機能の異常が要因の1つであると考えられるのは当然であるが,実際には,臨床の場で臨床検査として白血球機能の検査が行われることはほとんどないといってよい.白血球機能はその環境,条件によって大きく左右されること,標準化が困難なこと,確立した検査法が十分普及していないことなどがその原因と考えられる.多くの研究者の報告では,MDSにおいて様々な好中球機能の異常が認められ,易感染性との関連性が指摘されている.一方,MPDでは一部の慢性骨髄性白血病と骨髄線維症を除いて明らかな好中球機能異常は認められず,また,易感染性も急性転化するまではほとんど問題にはならない.
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