増刊号 診断基準とその使い方
V.内分泌
36.グルココルチコイド不応症
名和田 新
1
1九州大学医学部・第3内科
pp.1936-1937
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221960
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■疾患概念
1976年オランダのVingerhoedsら1)は,高コルチゾール血症を示すにもかかわらずCushing症候群の特異的諸徴候を全く示さない父子例を最初に報告した.米国NIHのChrousos2),Lipsettらはこの症例を詳細に検討し,コルチゾール不応症の原因はグルココルチコイド受容体(GR)異常によることを明らかにし,原発性コルチゾール不応症と呼称した.原発性コルチゾール不応症は全身性のGR異常により代償性に下垂体ACTH,ついで副腎皮質ステロイドホルモンの分泌亢進を来し,末梢におけるコルチゾールの代償性維持機構が作動していると考えられる.次いで筆者らもGR異常症の若年女性を,更にIidaら,Brönnegard,Lámbertsらも相次いで原発性コルチゾール不応症の一家系を報告している(表1)3).これとは別にKontulaらによりコルチゾール産生副腎腺腫を伴ったコルチゾール不応症が報告されている(表1).これらの報告例より高コルチゾール血症を示すにもかかわらずCushing徴候を欠如する原因として証明されたことは,標的臓器である末梢血単核白血球または培養線維芽細胞GRの検索により受容体の結合親和性の低下,不安定受容体,受容体のDNA結合の低下,および受容体数の減少と受容体の質的,量的異常である.
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