特集 ホルモンと生理活性物質
各論
6.副腎皮質ホルモン系
1)コルチゾール
柳瀬 敏彦
1
,
名和田 新
1
Toshihiko YANASE
1
,
Hajime NAWATA
1
1九州大学医学部第3内科
pp.118-121
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902193
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生合成・分泌・機能
1.生合成
コルチゾール(cortisol)は副腎皮質において合成されるが,その合成分泌は下垂体ACTHにより促進的調節を受けている.副腎におけるステロイド合成経路の概略を図1に示すが,ここでは主にコルチゾール合成について言及する.
コレステロール(cholesterol)からコルチゾール合成に至る経路には4つのチトクロームP450(P450scc,P45017α,P450c21,P45011β)および3β-HSD(3β-hydroxysteroid dehydrogenase)の5つの酵素が関与する.すべてのステロイドホルモンの合成はミトコンドリアにおけるコレステロールのP450sccによる側鎖切断反応に始まり,その結果,プレグネノロン(pregnenolone;P5)が形成される.P5は小胞体へ移行し,P45017αにより17α-水酸化反応を受け17α-hydroxypregnenolone (17 OHP5)が生成される.さらにP5および17OHP5は3β-HSDによりそれぞれプロゲステロン(progesterone; P4)および17α-hydroxyprogesterone (17OHP4)に転換される.17OHP4は小胞体のP450c21,により11-deoxycortisol(S)に転換され,Sは再度ミトコンドリアに移送された後,最終的にP45011βによりコルチゾールが生成される.
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