増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
内分泌学的検査
副腎
コルチゾール
中井 利昭
1
1筑波大学臨床医学系臨床病理
pp.472-473
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906429
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
コルチゾールは糖代謝,蛋白代謝,脂質代謝,水・電解質代謝,消炎,免疫機能抑制など多彩な作用を発揮する糖質コルチコイドの代表である.その生合成は副腎皮質束状層の細胞で行われ,生合成・分泌はCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出因子)-ACTH-コルチゾール系のネガティブフィードバック機構によって調節されている.CRH,ACTHの分泌は,日内リズムやストレスなどにより変動するneurotransmitterや,コルチゾールによる負のフィードバック機構によって調節されているため,コルチゾールの血中濃度もこれらの影響を受ける.血中コルチゾールは,その90〜95%が結合蛋白であるCBG(corticosteroid binding globulin)と結合していて(CBGと結合したものは非活性である),5〜10%が遊離型である.大部分は肝腎で代謝され,抱合型として尿中に排出されるが,一部は血中の遊離コルチゾールがそのまま尿中に排泄される.
血中または尿中コルチゾールの異常は,一つは副腎皮質そのものに異常がある(原発性)場合,もう一つは視床下部からのCRHまたは下垂体からのACTHの分泌異常がある(続発性)場合のいずれかによって起こる.
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