増刊号 診断基準とその使い方
V.内分泌
17.選択的低アルドステロン症(低レニン性,正-高レニン性低アルドステロン症)
森本 真平
1
1金沢医科大学・内分泌内科
pp.1902-1903
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221941
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■疾患概念と疫学
選択的低アルドステロン症は,糖質コルチコイド分泌には異常はないが,アルドステロン分泌が低下するため,高K血症,代謝性アシドーシス,低Na血症など水・電解質代謝異常を来す疾患である.本症には,その原因がレニン分泌不全にあるもの(低レニン)と副腎自体あるいはアンジオテンシンII生成の異常にあるもの(正-高レニン)があり,Batlleらは選択的低アルドステロン症を来す病態を低レニンと正-高レニンに分け,表1にように整理,分類している.これらのうち,低レニン性および正-高レニン性低アルドステロン症は,比較的高齢者で,基礎疾患に糖尿病,腎炎,痛風,高血圧,SLEなどを有し,軽度〜中等度の腎機能低下を伴う患者に合併することが多い.
Schambelanらの報告によると,高K血症と軽度〜中等度の腎機能低下を伴う患者31例中23例に低アルドステロン症を合併しており,その内訳では,低レニン性が83%,正レニン性が17%である.CMO欠損症は,先天性または後天性にアルドステロン生成過程の後段階[コルチコステロン(B)→18-ハイドロオキシコルチコステロン(18-OHB)→アルドステロン]に関与する酵素が欠損するまれな疾患である.本症にはCMO I型とII型欠損症がある.
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