今月の主題 高血圧診療―わかっていること・わからないこと
診療に役立つ病態生理の基本を理解しよう
レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系
久保田 和充
1
,
浦田 秀則
1
1福岡大学筑紫病院循環器内科
pp.1199-1204
発行日 2010年7月10日
Published Date 2010/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104526
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レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系は血圧調節や体液・電解質調節に加え,種々の病態における心・血管系のリモデリングなど重要な役割を果たしている(図1).血圧の低下や体液量の低下を感知して,腎臓の輸入細動脈に存在する傍糸球体細胞から分泌されるレニンは,肝臓で産生されたアンジオテンシノーゲンに作用してアンジオテンシンⅠ(AⅠ)を生成する.AⅠはアンジオテンシン変換酵素(ACE)やキマーゼによりAⅡに変換される.AⅡは血管平滑筋を収縮させると同時に,副腎皮質の球状層からのアルドステロン分泌を促進することで,腎尿細管でのナトリウム再吸収とカリウム排泄を介して昇圧効果を及ぼす(図1).
この一連の系は血中RAA系を意味するが,脳・心臓・腎臓・血管などの各組織においてもそれぞれ独立したRAA系が存在し,全身性RAA系と組織RAA系は連動して作用していると考えられている.本稿ではRAA系に関する構成因子を解説する.
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