増刊号 診断基準とその使い方
I.循環器
17.Triggered Automaticity
飯沼 宏之
1
1心臓血管研究所
pp.1722-1723
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221872
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■Triggered automaticity(TA)の概念
TAは活動電位再分極終了直後にみられる膜電位の動揺(oscillatory afterpotential(OAP),あるいはdelayed afterdepolarization(DAD)と呼ばれる)により新たな活動電位が誘発される状態のことで,頻拍性不整脈の原因になるだけでなく,膜電位減少による伝導抑制を招くこともある.このような膜電位の動揺は,ジギタリス剤,カテコラミン,高Ca++,低Na+,低K+などの存在下で細胞内Ca++濃度が高まったときに生じる現象で,その発生に先行する活動電位を必要とするものの,脱分極自体は自然に生じるので自動能の範疇に属する.しかしreentry(Re)と同様,単発〜連続刺激により誘発ないし停止が可能(表1 I,II,III,IV)という点できわめて特異である.
臨床上,TA性不整脈がジギタリス中毒時以外にもみられるか否か定かではないが,その原因となる細胞内Ca-overloadは虚血時をはじめ,病的状態ではよくみられる現象であるので,頻回にみられても不思議ではない.
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