増刊号 診断基準とその使い方
I.循環器
18.左脚前枝ブロック
鈴木 文男
1
1東京医科歯科大学医学部・第1内科
pp.1724
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221873
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■診断基準(表)
■疾患概念と疫学
左室内に分布する左脚は1本の枝ではなく,2本の分枝,すなわち左脚前枝と左脚後枝に分かれている.解剖学的には,そのようなはっきりとした2本の分枝に分かれている例は比較的少ないとする立場から,二分枝説に反対する学者もいるが,心電図学的見地からは解かり易い概念であり,また有用でもあるので,広く一般に受け入れられている.
左脚の2本の分枝のうち,左脚前枝の伝導が完全に途絶したものが左脚前枝ブロックで,左室の興奮は左脚後枝のみから始まる.前枝ブロックでは,後枝支配領域である左室の後壁下壁より興奮が始まり,前枝支配領域である前壁側壁は,前枝後枝間の末梢プルキンエ線維網の連絡を通じて遅れて逆行性に興奮させられる.このために,心電図上,QRS軸は著しい左軸偏位(-45°〜-90°)をとり,また,QRS幅は0.02秒以内の延長を示す.
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