今月の主題 カルシウム代謝と骨
内分泌疾患と骨
クッシング症候群
多久和 陽
1
1筑波大学臨床医学系・代謝内分泌内科
pp.1538-1539
発行日 1988年9月10日
Published Date 1988/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221836
- 有料閲覧
- 文献概要
内因性グルココルチコイドの過剰産生を特徴とするクッシング症候群は,グルココルチコイド過剰に基づく種々の代謝異常を呈する.このうち,鉱質代謝の異常は著しい骨量の喪失や,尿路結石症として臨床的に問題となる.骨形態学的研究から本症にみられる骨量の減少(osteopenia)は骨粗霧症(osteoporosis)の一種であることが明らかにされている.同様の骨量の減少は,各種疾患の治療のために,生理量以上のグルココルチコイドを長期間投与された,いわゆる医原性クッシング症候群の患者にも認められる.
臨床的に典型的な症状,徴候を呈する自然発症性クッシング症候群の患者では,その40%〜50%の頻度でX線学的に骨粗鬆症の所見が認められると報告されている.また医原性クッシング症候群においては,患者の性,年齢,グルココルチコイド治療の対象となる基礎疾患の種類,用いたステロイドの種類,量,投与の期間などにより骨粗霧症の頻度および程度は異なる.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.