病気のはなし
クッシング症候群
大村 昌夫
1
,
西川 哲男
2
1横浜労災病院内科(内分泌代謝科)
2横浜労災病院内科
pp.422-433
発行日 1999年5月1日
Published Date 1999/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903769
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新しい知見
クッシング症候群は慢性的な糖質コルチコイド過剰により種々の症状を示す症候群で,ACTH産生下垂体腫瘍とコルチゾール産生副腎腫瘍が主な原因である.ACTH産生下垂体腫瘍の診断はMRIにより飛躍的に向上したが,MRIで発見できない微小下垂体腺腫の診断には海綿静脈洞採血によるACTH測定が有効である.その治療は経蝶形骨洞手術(Hardy手術)が主流であるが,ガンマナイフによる治療も試みられている.副腎が原因のクッシング症候群は,従来から知られている副腎腫瘍のほかに,ACTH非依存性大結節性副腎皮質過形成や原発性副腎皮質結節性異形成という結節性過形成病変が多数報告されるようになっている.また,コルチゾールが低値にもかかわらず,クッシング症候群と同様の臨床症状を示すコルチゾール過敏症症候群1)や,潜在的な糖質コルチコイド過剰がありながら臨床症状に乏しいプレクリニカルクッシング症候群2)が話題となっている.
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