増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方
Ⅱ 神経・筋疾患治療薬
脳血管障害
42.抗血小板剤の使い方
丸山 征郎
1,2
1鹿児島大学医学部・第3内科
2鹿児島大学付属病院・血液センター
pp.1848-1849
発行日 1987年9月30日
Published Date 1987/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221162
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抗血小板剤とは,血小板の主な機能である凝集,粘着を抑制する薬剤の総称で,作用機序には種々なものがある.抗血小板剤が注目されてきた背景には,血栓症の成立に血小板が大きな役割を果たすことが明らかになってきたこと,血小板凝集のメカニズムがきわめてよく解明されてきて,それを抑制しうる薬剤が次々と開発されてきたこと,動物実験あるいは臨床治験である程度抗血小板剤が血栓症の進展や再発予防に効果を発揮するとのデータが得られてきた,などの理由がある.
しかし,血栓の発生病理は複雑であり,血栓発症の母地を与える血管側の要因(動脈硬化など)と直接要因である凝血のプロセスがからみ合っている.抗血小板剤は主にこのうちの後者を制御する目的で使用される.したがって,血栓症の予防や治療の有効な展開には当然総合性,多面性が要求され,高脂血症,高ヘマトクリット,高血圧などの治療にも留意すべきで,その上で抗血小板剤の有効性が発揮されるということを念頭に入れておく必要がある.
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