増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方
Ⅱ 神経・筋疾患治療薬
てんかんとミオクローヌス
43.てんかん治療における薬物選択とモニタリング
清野 昌一
1
1国立療養所静岡東病院(てんかんセンター)
pp.1850-1853
発行日 1987年9月30日
Published Date 1987/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221163
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最近,種々の薬物について血中濃度モニタリング(therapeutic drug monitoring;TDM)が行われるようになったが,これに先鞭をつけたのは抗てんかん薬(antiepileptic drug;AED)であった.その理由は,AEDの治療有効濃度がμg/mlオーダーと比較的高目であり,かつ現今の生化学的方法によって濃度測定をすることが比較的容易となったためである.またほとんどのAEDが,代謝物ではなく親薬物に生物学的活性がそなわっていることも,AEDのTDMを促す理由の1つであった.
しかし他方,AEDの血中濃度の測定値がもつ意味は万能でなく,レベルを機械的に操作することによっててんかんの薬物治療を完結することができるという考え方は誤りである.治療効果の判定にあたっては,臨床的判断が測定値に先行すべきであり,TDMは臨床的判断を助ける1つの手掛かりである.それをまず念頭におくことが必要である.
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