今月の主題 感染症の動向と抗生物質
院内感染のマネージメント
感染症と隔離
渡辺 彰
1
1東北大学抗酸菌病研究所・内科
pp.1685-1689
発行日 1986年10月10日
Published Date 1986/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220563
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感染症における隔離には,感染症患者を隔離する本来的な意味での"隔離"と,感染症を発症させないための"逆隔離"との2つがある.すなわち,隔離の目的は,伝染力が強くかつ致命率の高い感染症の,社会一般あるいは院内環境への伝播の危険性を遮断することにある.これに対し,逆隔離の目的は,種々の要因により感染防御能が低下して,もし感染を併発すれば容易に感染死の危険に迫られる患者に対して,感染の機会を減少させることにある.
前者に該当する感染症の1つは伝染病(法定・指定・届出)であるが,伝染病が院内感染として発生する事例は最近ではほとんどなく,むしろそれ以外の感染力の強い病原体によるものが問題となる.後者に該当する病態の代表的なものは,悪性腫瘍や血液疾患における好中球減少症である.このような場合の隔離と逆隔離の問題に関して,主に院内感染のマネージメントの観点から以下に述べる.
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