連載 疾病対策の構造
隔離の成熟
倉科 周介
1
1東京都立衛生研究所
pp.867-869
発行日 1995年12月15日
Published Date 1995/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901396
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病気の原因に接触しなければ病気は起こらない.この認識から疾病対策は出発すべきである.にもかかわらず,過去の疾病対策は,むしろ起こった病気への対応という立場から発想され組織されてきた.つまり,病気の存在を頼りにし,病気ともたれあった疾病対策である.医学教育またしかり.皮肉な見方をすれば,病気にとっては与しやすい対策だったともいえる.だが,わが国の病気は,いま明らかに衰微の方向に向かっている.それはもっと別な,いわば“不作為の疾病対策”の成功によるのではないか.これが今回の主題である.
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