臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅷ.血液化学検査
95.中性脂肪(triglyceride,TG)
村井 哲夫
1
Tetsuo Murai
1
1筑波大学臨床医学系・臨床病理学
pp.2320-2322
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219416
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異常値を示す疾患
血清トリグリセリド(TG)値の異常をきたす疾患を表にまとめた.日常認められる異常値のほとんどは持続性の脂質代謝異常によるものである.血清TGは,エネルギー源としての脂質の吸収,貯蔵,消費,合成のバランスを示すものであり,諸疾患によって脂質代謝に影響があった場合,異常値をとることは当然考えられる.ただし,続発性TG異常を示す糖尿病,ネフローゼ症候群,肝疾患などの診断はその臨床所見,検査データなどから総合的に行われるものであり,TG値が診断のきめ手になるとは考えられない.
鑑別診断上,食餌性高脂血症,肥満症,動脈硬化症などにおけるTG値を含む脂質検査データの臨床的意義の解釈は,他の臨床検査データが必ずしも特異的所見を示さないため困難なことが多い.忘れてならないのは薬剤の影響によるTG異常値の出現で,このような場合,原疾患による影響か否かの判断はかなり難しいものとなる.薬剤と食餌性TG異常値の場合には特定臓器疾患としての症候,所見が不明瞭なことが多い.
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