特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
VI.代謝糸
4.高脂血症の見分け方
中性脂肪(トリグリセライド)の高いとき
中村 治雄
1
1慶大内科
pp.1193-1195
発行日 1972年7月5日
Published Date 1972/7/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204249
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血液中のトリグリセライド値
空腹時の血清または血漿中では,トリグリセライドはSf 20-400までのリポ蛋白部分(pre-β リポ蛋白,超低比重リポ蛋白)に多く含まれており一部にSf 0-20のリポ蛋白(β-リポ蛋白,低比重リポ蛋白)に存在する.また,わずかながら,高比重リポ蛋白(α-リポ蛋白)にも存在する.これらのリポ蛋白に含まれるトリグリセライドは,主として肝臓で,糖,または脂肪酸を素材として合成されたものであり,一部,最近では,腸管での合成が確認されている.
これに反して,食後,それも脂肪の多い食品の摂取がおこなわれたあとでの血清,または血漿では,Sf 400以上のリポ蛋白,一般にカイロマイクロンと呼ばれる,きわめてトリグリセライドを豊富にもった脂蛋白が増加する.食後の血清の白濁は,主としてこの大きな粒子による散乱光に由来するが,空腹時に採取した血液にも,時にこのような現象を認めることがある.いずれにせよ,ここに含まれるトリグリセライドは,体外から摂取した外因性のものであり,先に述べた肝,一部腸で合成された内因性トリグリセライドとは,その病的意義も代謝系路も異なっている.
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