臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅷ.血液化学検査
96.遊離脂肪酸(FFA)
福井 巌
1
Iwao Fukui
1
1京都府立医科大学・臨床検査部
pp.2323-2325
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219417
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
異常値を示す疾患
血漿中のFFAの濃度は非常に不安定なもので,わずかの刺激に対して敏感に変化する.とくに栄養,神経性因子および内分泌性の影響を敏感に受ける.血漿中の量はほかの脂質に比べて非常に少ないが,turn overが非常に早く,エネルギー源として重要な役割を果たしている.
ほかの脂質と異なり,ただ1回の測定のみで疾患の診断的意義を有することが少ない.むしろある刺激を加えてFFAの変化をみて,これらの刺激の生体内代謝におよぼす影響をみる場合が多い.生体がエネルギーを必要とするとき,図に見られるように,ホルモン感受性リパーゼが働き,脂肪組織のTGはFFAとグリセロールに分解され,血中に放出される.血中に放出されたFFAは心筋,骨格筋,腎臓などの主要臓器のエネルギー源として利用される.そして,余ったものは肝に行ってTGとなり,再びVLDLとして血中に放出され,脂肪組織に摂取され,貯わえられる.ホルモン感受性リパーゼはホルモンや神経系の影響を受けることが大きく,cyclic3´,5´-AMPを介して調節されている.cyclic3´,5´-AMPはATPからadenyl cyclaseによって作られる.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.