他科のトピックス
色覚検査表による視神経障害の検出—標準色覚検査表第2部後天異常用
田邊 詔子
1
Shoko Tanabe
1
1名古屋第一赤十字病院・眼科
pp.972-973
発行日 1984年5月10日
Published Date 1984/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219055
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「副作用の有無を…」という眼科への検査依頼は,ステロイドとエタンブトールの投与患者が圧倒的に多い.ステロイドに関しては眼圧や白内障のような捉えやすい所見があるので,乳幼児で検査が困難な場合以外あまり問題がないけれども,エタンブトールによる視神経症は,他覚的所見が初期にはまったくといっていいほどない.視力が正常であれば一応副作用は出ていないと判定するのであるが,0.8くらいのわずかな視力低下があって原因が明らかでないとき,非常に回答に難渋する.薬剤はそれ相当の必要があって投与されているのであるから,疑わしきをすべて直ちに中止するのは本末転倒であろうと思うからである.
エタンブトールによる視神経症の報告は多いが,発症初期の症状は明確に記載されていない.しかし,消極的な治療法しかない現在,いかに早期に診断するかが重要である.
症状が軽微であるほど,その確認には多くの検査を要する.視神経の微細な障害を診断するいろいろな検査は,あまりにも煩雑であったり患者の負担が大きかったりして,定期的にくり返し行うのが無理なことも多い.
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