今月の主題 胃・十二指腸潰瘍—その基礎と臨床のすべて
胃・十二指腸潰瘍の発生
消化性潰瘍の素因(体質と気質)
田中 康徳
1
,
中川 哲也
2
Yasunori Tanaka
1
,
Tetsuya Nakagawa
2
1九州大学医学部・心療内科消化器研究室
2九州大学医学部・心療内科
pp.2682-2683
発行日 1983年12月10日
Published Date 1983/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218797
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消化性潰瘍の成因の1つとして,従来より遺伝的素因の関与が考えられていた.しかし,潰瘍の素因を裏付ける亜臨床的符号subclinical markerとなりうるものが発見できなかったため,この分野の研究は立ち遅れざるをえなかった.しかし,近年,潰瘍の遺伝的素因の指標genetic markerとして血清ペプシノーゲン1(serum pepsinogen 1;PG 1)の測定が有用であるとの見解が発表され1,2),さらに現在では,消化性潰瘍の遺伝的素因を示唆する有力な仮説として「遺伝的異質性genetic heterogeneity」という概念が提唱され1),本症の遺伝的素因についての関心が高まっている.
本稿では,潰瘍の遺伝的素因を体質的素因と気質的素因の大きく2つに分け,とくに体質的素因については,①高PG 1血症,②HLA抗原,③血液型について述べてみたい.
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