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特集 喘息病態の修飾因子・難治化因子
遺伝素因
Genetics of Severe Asthma
檜澤 伸之
1
Nobuyuki Hizawa
1
1筑波大学医学医療系呼吸器内科
1Department of Pulmonary Medicine, Faculty of Medicine, University of Tsukuba
pp.516-522
発行日 2013年6月15日
Published Date 2013/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102231
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はじめに
喘息は気道炎症,気道過敏性や可逆的な気流制限によって特徴づけられる多因子疾患である.患者ごとに発症年齢,増悪因子,重症度(呼吸機能や急性増悪の頻度),さらには薬剤反応性が異なる多様な表現型(phenotype)を呈する.表現型の多様性は環境と遺伝との交互作用に大きな影響を受けており,喘息は多様な分子病態を内包する症候群と考えるのが妥当である.現在の吸入ステロイド薬(ICS)を中心とする喘息治療は多くの患者に症状のコントロールと肺機能の改善をもたらすが,未だに一部の患者は重篤な発作によって喘息死に至る.難治化を規定する遺伝因子を同定することで難治性喘息の分子病態とその多様性が明らかとなり,病態の理解に基づいた個別化治療や一次予防の実現が期待される.本稿では喘息難治化の要因としての遺伝的素因について,最近の遺伝子解析の結果を中心に解説する.
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