特集 出血
出血性素因に就いて
小宮 悅造
1
1東京医大
pp.36-39
発行日 1956年5月1日
Published Date 1956/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201053
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
朝齒をみがくと齒ぐきから血がにじみ出て来たり,鼻血が出て中々とまらなくなつたり,或いは手や足にひどく打撲した覺えがないのにあざが出来易くなる樣な状態は,一種の病気であつて,内出血或いは外出血を起し易くなつた病気と云う意味で一まとめにして出血性素因と呼んで居ます.
御存知の樣に,皮膚を匁物等で傷つけると出血しますが,この際には血液の流れて居る管——血管——が刃物で破壊されて,血液が血圧の力で外に押し出されて来るわけです.健康な人の血管は弾力性が強くこの樣に鋭利な刃物等でないとちぎれることは少いので,血液が血管の外へ流れ出る機会も殆んどありません.それでは,どの樣な変化が身体に起つて来ると血管が脆くなつて,血液が勝手に,血管の外へ流れ出て来る樣になるのでしようか.今回は少し,その点に就いてお話して見ましよう.
Copyright © 1956, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.